最近の話題について。日本にとって戦前の旧道路法とは「天皇と軍」のためのものでした。ところが日本が戦後復興するにつれ自動車が一般大衆にも普及し、また国道などの公道の整備が必要に迫られるにつれその財源が問題となりました。そこで登場するのがかの田中角栄氏でした。昭和20年代から30年代にかけていわゆる道路三法を議員立法により成立させた。その中の目玉が「ガソリン税」でした。ガソリンの消費が増えれば増えるほど財源は膨れ上がる。そのお陰で高速道路や過疎地域まで道路の整備ができたといえます。東京オリンピックや大阪万博等にも大いに貢献しているはず。ただこのガソリン税等の「道路特定財源」は良くも悪くも戦後日本の産業の骨格に大きな影響を与えました。例えばこの税金を当てにした民間の土木・建築会社が乱立した事。これらは公共工事無しでは成り立たなくなりました。また工事を発注する側の旧建設省を牛耳る国会議員(族議員)が出現し、また官僚の特殊法人への天下り等が当り前になりました。田中角栄氏がこの法案を出すまでは建設省はあまり利権には縁が無い省庁でした。しかしガソリン税による道路・架橋工事等は建設族ボス議員である田中角栄の息のかかった業者に全て仕事が流れました。
その結果、彼の懐には工事代金の3%から5%が転がり込んだと言われます。国家的予算からのキックバックですからその金額は桁違いです。これが佐藤内閣を支え佐藤派から独立した田中軍団の基金となりました。特殊法人も彼が定年後の役人のために用意した組織でした。ついでに
公団住宅法や住宅金融公庫法も田中角栄が作ったものです。今の日本の政治経済の根幹は戦後日本の復興期にあると思いますが、田中角栄氏はこれらに大きく関わっています。田中氏は戦後復興の先頭に立ってあらゆる分野の法案を通しましたが、現在問題になっている諸悪の根源もまた田中角栄です。田中政治は復興期には確かに必要だったかもしれませんが、その後の安定期や減退期には不向きだったかもしれません。公共工事に頼るしか方法を知らない政治家も多数います。田中氏は郵政大臣の時、放送業界にも大きな影響力を残しています。放送局に片っ端から免許を与えたのです。彼は郵政族のボスでもありました。だから初期の放送局(NHKも)トップには郵政省の役人がどっと天下りしました。しかし、田中角栄の影響外の産業がIT産業と言えるでしょう。だからこの分野は当初は規制が少なくソフトバンク、ライブドアなど飛躍的に伸びた企業も多いのです。しかしその分野でも淘汰現象が起こっています。人類がある限りのネバー・エンディング・ストーリーですね。長くなってしまいましたがこのくらいで。